車と心理学:車にまつわる心理学・実験をまとめました

心理学というのは、多くの人が楽しめる話題の一つです。そこで今回は「車と心理学」をテーマに、車にまつわる心理学・実験をまとめてみました。

1、ロフタスとパーマーの「印象操作」

1974年に出されたアメリカ合衆国の認知心理学者エリザベス・ロフタスとパーマー(Loftus & Palmer名義)は、自動車事故の映像を見せ、被験者にその印象を問う実験を行いました。

1、まず、被験者に自動車事故の映像を見せます。
2、その後で、事故について質問します。
3、そして、質問の仕方を2つに分けます。

Q1:事故を起こしたときの車のスピードについて

同じ自動車事故の映像を見せ、

質問1:ある被験者には「車が激突したとき、どのくらいのスピードで走っていましたか」と尋ねる
質問2:別の被験者は「車がぶつかったとき、どのくらいのスピードで走っていましたか」と尋ねる

すると、「車が激突したとき~」と質問された被験者は、「車がぶつかったとき~」と質問された被験者たちよりも、より高い数字のスピードが出ていた、と回答しました。

Q2:週間後に再び同じ被験者を集めて、今度は映像を見せずに事故について質問

ロフタスたちは、質問の仕方によって被験者の記憶が変容してしまうのではないか、と考えました。そこで、一週間後に再び同じ被験者を集めて、今度は映像を見せずに事故について質問しました。

質問:「ガラスが割れるのを見ましたか』と尋ねる

すると、一週間前の質問で「車がぶつかったとき~」という表現で質問された被験者51名のうち、「割れるのを見た」と回答したのは7名に対し、「車が激突したとき~」と質問された被験者50名のうち、「見た」と答えたのは16名もいました。

実際の映像ではガラスは割れていませんでした。

2、フィリップ・ジンバルドー教授の「割れ窓理論」

スタンフォード監獄実験を行ったフィリップ・ジンバルドー教授は、もう一つあまり知られていない興味深い実験を行っています。この実験では、2つの捨てられた車を外に置きっぱなしにします。1つは荒れたトラブルの多いエリアに、もう1つは金持ちの多い平和なエリアに置きます。

数時間の間で貧しいエリアに置かれた車にはすでに大きなダメージが見られました。一方、金持ちの多いエリアの車はそのままでした。

1週間後、貧しいエリアに置かれた車は完全に破壊されてしまいました。一方、裕福なエリアの車はまだ傷一つつけられていませんでした。研究者たちは、このシチュエーションの条件変更を決定し、完璧なコンディションであった車の窓の1つを割りました。どうなったと思われますか?強盗、暴力、破壊で、車は貧しいエリアに置かれたものと同じ状態にまでに落ち込んだのです。

3、女性の席の車のドアを開ける「慈悲的差別」

女性が乗り込む車の扉を開けたりといった行動は、一見親切に見えつつも「女性は守られるべきだ」という考えに基づいていると言います。こうした性別的な観点から来る親切心は「慈悲的差別」と呼ばれています。

慈悲的差別は男女平等の障害になると考えられていますが、フェミニストの傾向が強い女性であっても慈悲的差別の行動を取る男性のことを「魅力的」だと感じてしまうというから、エスコートのパワーは絶大ですよね。

2018年に発表された研究では、18歳から73歳までの女性700人が「コートを預かる」「重い荷物を持つ」といった慈悲的差別の行動を示す男性のプロフィールを読み、その後、男性を評価するという実験が行われました。この時、女性被験者たちは男性の行動について「積極的な保護」「供給と献身」「恩着せがましい」といった点で評価しました。

この結果、女性は慈悲的差別を取る男性について「恩着せがましい」「パートナーを弱くさせる」と見ていたものの、同時に「魅力的」だと感じていたことが判明しました。車に乗せる時は扉を開け閉めする、タクシーに乗るときは頭をかばってあげるなど、想像する際は「うざい」と思いながらも、されたときは魅力に感じるから、女性の意見はアテにならないとも言えます

4、オランダの心理学者でデクターハウスによる「優先順位付けの失敗」

オランダの心理学者でデクターハウスは中古車を選ぶ実験も行いました。車を買う人たちをいくつかの集団に分け、4つの異なった中古車について説明を行なった。このうち1台は客観的に見て「お買い得」な車でした。

車の説明が、4つのカテゴリーで16ポイントにわたって行なわれた場合

1つの車で4つのカテゴリーについて4台分説明するので、16の訴求を聞くことになります。こういった「受ける説明が簡単な状況」では、50%以上の人が最良の車を選ぶという結果になりました。そして、選択の前に数分間パズルをとかされ、突然選択するよう命じられた人の選択は、意識的に選択を行なった人よりもかなりまずいものになりました。

12のカテテゴリーで48ポイントについて説明を行なわれた場合

さっきよりも判断できる基準や項目がぐっと増えました。逆を言えば、「複雑な基準を与えられた難しい状況」でのテストが行なわれた。トランスミッションの質や燃費だけでなく、トランクのサイズやカップホルダーの数などといった情報が与えられたわけです。実際の営業もそうかと思います。

この実験では、すべての選択肢を注意深く検討することができ、合理的に考える時間を与えられた被験者のうち、最も条件の良い中古車を選んだ人は25%に満たないという結果になりました。パズルを解かされた後に突然選ぶ場合よりも低い確率なったのです。

これに対して、数分間、他のことに注意を向けさせられた被験者では、最も良い中古車を選んだ確率が60%近くにのぼった。時間を与えられることで、不要な情報を捨てて、理想的な選択肢を選ぶことができたのです。

5、交通事故と傍観者効果

傍観者効果とは、ある事件に対して、自分以外に傍観者がいる時に率先して行動を起こさない心理を言います。傍観者が多いほど、率先して行動を起こさない度合いが強くなります。傍観者効果には以下の3つの特性があります。

1、多元的無知…点他者が積極的に行動しないことによって、事態は緊急性を要しないと考える
2、責任分散…他者と同調することで責任や非難が分散されると考える
3、評価懸念…行動を起こした時、その結果に対して周囲からのネガティブな評価を恐れる

例えば、友人グループが車2台で移動していたとしましょう。すると、1台が事故を起こしました。やじ馬が大勢集まってきます。すると、もう一台の関係者たちも、救急車を呼ばずに、事故に遭った友人を前に嘆く、ということが起きる可能性があるわけです。

傍観者効果の実例として有名なのが、「滋賀電車内駅構内連続強姦事件」です。3件の事件(同一犯による)に複数の目撃者がいたにも拘らず、誰も事件に介入しませんでした。これは、駅内に大勢の傍観者がいることで、多元的無知と責任分散と評価懸念が一気に煽られた結果、目撃だけに留めたと言えます。

最後に:前もって環境が与える心理をしっておくことは大事

環境が自分に影響を与えることを知っていれば、マインド変え、自分を変えることができます。コーチングの創始者ルー・タイスは「すべての変化は内側から始まって外側に伝わる」と言っています。ぜひ、今回の記事も参考にしてみて下さい。

関連記事一覧