- フィアットとは
- フィアット500「トポリーノ」1936年~1955年
- フィアット600「セイチェント」:1955年~1968年
- フィアット600「ムルティプラ」:1956年~
- フィアット500「シャルディニエラ」:1959年~
- フィアット・ヌーヴァ500「チンクエチェント」:1957年~1975年
- フィアット126:1976年~
- フィアット・パンダ:1979年~
- アウトビアンキ A112:1961年~1985年
- フィアット・ウノ:1983年~1995年
- フィアット・チンクエチェント:1991年~
- フィアット・パンダ:2003年~
- フィアット500:2007年~
- 最後に:今も愛され続ける過去の洗練されたフィアットデザイン
フィアットとは
コンパクトで洗練されたイタリアンデザインが日本情緒に見事にマッチするフィアット。フィアットは、1899年創業のフィアット社の車を指します。日本の自動車メーカーより格段に長い歴史を持つフィアットは「トリノのイタリアの自動車工場」という意味のイタリア語「Fabbrica italiana automobilistica Torino」の頭文字を取って「Fiat」と名付けられました。
現在はアルファロメオやフェラーリなどイタリアの自動車メーカーのほとんどを傘下にしていて、クライスラーとも提携。世界トップクラスの販売台数を誇る自動車メーカーです。
日本でも人気のフィアットですが、今回はフィアットのビンテージビンテージ車をまとめていきたいと思います。
フィアット500「トポリーノ」1936年~1955年
全長わずか3.2m、初代フィアット500は、そのコンパクトながらも活発な走りと外観のユーモラスなデザインからハツカネズミ「トポリーノ」(Topolino)の愛称で名をはせました。イタリアの自動車技術者・カーデザイナーであるダンテ・ジアコーサの出世作となり、以後、多くのフィアットの製作を担うことになります。
戦前から戦後にかけて約60万台も生産され、一気にイタリアの国民的自動車にのし上がります。FR(フロントエンジンリアドライブ)で二人乗りですが、上級車並みの4気筒エンジンやフロントの独立懸架、3&4速シンクロメッシュ付きミッションなど、当時としては斬新なメカを採用しました。
小さくてキビキビと走る様は、ハツカネズミのようで、可愛らしく、1995年まで19年間も生産され続けることになります。
フィアット600「セイチェント」:1955年~1968年
ダンテ・ジアコーサ設計によるコンパクトながら4人乗りの大衆車で、実質初代トポリーノの後継モデルとなりました。633ccの4気筒エンジンをリアに搭載するフィアット初のRR(リアエンジン・リアドライブ)モデルです。1960年には排気量を767cccへ拡大して、600Dとなりました。生産は14年間にわたり、600のイタリア語で読むと「セイチェント」と呼ぶことから、この名が付いています。
フィアット600「ムルティプラ」:1956年~
レジャー用やタクシー用、商用など幅広く使われたコンパクトながらに3列シートを達成したフィアットの「ムルティプラ」(Multipla)。どちらがフロントなのか分かりづらい個性的なフォルムで、ホイールベースは以前の大きさそのままで可能な限りキャビンスペース広く取り、3列シートで最大6人乗車が可能となっています。
既に1956年時点で、現代のミニバンコンセプトそのものを実現した、先見性のある車で、特に商用で広く使われました。
フィアット500「シャルディニエラ」:1959年~
500Cをベースにした、世界で一番小さな4人乗りステーションワゴンの「ジャルディニエラ」(Giardiniera)。水平直列2気筒エンジン搭載で荷室を確保しています。
フィアット・ヌーヴァ500「チンクエチェント」:1957年~1975年
ヴィンテージ車として、今も世界中で愛され、輝きを放ち続けるフィアット・ヌーヴァ500「チンクエチェント」(Cinquecento)。イタリアの枠を超え、世界の自動車史に名を残す傑作車、500をイタリア語で読むと「チンクエチェント」となることから、この名前で親しまれています。ヌーヴァは「新しい」の意味で、新しい500の登場を表しています。
全長3mを切り、新設計の479cc2気筒エンジンをリアに搭載。愛らしいスタイルながら4人乗りできる実用性の高さがあり、世界中で大ヒットを生み出しました。イタリアの国民車の地位を完全に確立し、1975年まで18年間製造されました。
フィアット126:1976年~
チェンクェチェントの後継モデルです。RR(リアエンジン・リアドライブ)レイアウトで、594ccまで拡大、23psまでパワーアップし、後座席に燃料タンクを配置することで、キャビンスペースを拡大させることに成功しました。126の車両構成部品を利用したチンクエチェントも販売されています。126はフィアット最後のRR(リアエンジン・リアドライブ)モデルとなりました。外観は直線基調でチンクエチェントとはまったく違う印象になっています。
フィアット・パンダ:1979年~
ガラス部分はすべて平面で、ボディも曲面を探すのが難しいほどの直線基調なデザインとなりました。インテリアも平面パネルを使用し、初期モデルのシートはパイプのフレームに布を張った取り外し可能なハンモックシートを採用。これらはすべてコストダウンのためですが、機能美にあふれた作りで、パキッとした印象の車になっています。
日本へは1982年に902ccエンジンのモデルを導入。1983年に加わる4WDは、オーストラリアの軍事車メーカー、シュタイア・プフ社によるものです。
アウトビアンキ A112:1961年~1985年
自動車メーカーの自動車部門のビアンキが1955年にフィアット傘下になり、アウトビアンキというブランドへ変わり、A112は1969年に登場。エンジンの脇にトランスミッションとディファレンシャルを配置し、不等長のドライブシャフトで前輪を駆動するという「ダンテ・ジアコーサ式FFシステム」が採用されました。このシステムは先にプリムラとフィアット・128に採用されたシステムで、フィアットのダンテ・ジアコーサが考案。後のFFシステムに大きな影響を与えました。
日本で人気が出たのが、1973年にA112に「アバルト」グレードで、特に1981年にイタリア最大の自動車デザイン製造会社ピニンファリーナによってマイナーチェンジされたモデルになります。
フィアット・ウノ:1983年~1995年
シンプルで機能美にあふれたデザインが特徴のイタリアン2ボックスの傑作車。イタリアの工業デザイナーで、イタルデザインの創設者のジウジアーロが手掛け、フィアットを大メーカーへ押し上げたシリーズとなりました。1430mmと比較的高い全高で豊かな室内空間を持っています。
エンジンは803cc(45ps)、1116cc(55ps)、1301cc(70ps)に加えて、1985年にはフィアット初のガソリンターボ「ターボi.e.」(105ps)を設定。1984年にはヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。
フィアット・チンクエチェント:1991年~
フィアット126の実質的な後継モデルで、車名は「500」にあやかっています。全長3227mmは極めてコンパクトですが、1435mmという全高を生かして広い室内を獲得することに成功しています。エンジンは2気筒703cc(30ps)、4気筒903(40ps)に加えて、ともにOHV(バルブ機構をシリンダーヘッド上に備えた形式)、スポーティーグレードの「スポルディング」用にSOHC50psバージョンも用意しました。
フィアット・パンダ:2003年~
20年以上も生産され続けてきた初代のフィアット・パンダに続く2代目は、大きくなったものの全長は3535mmと依然としてコンパクトさを保っていて、高めの全高から入ワゴン車になりました。1240ccのSOHCを積んでいて、ATのように走ることができる2ペタルMT「デジュアルロジック」を搭載。新生チンクエチェントのベースモデルとなりました。ルーフレールを標準搭載し、よりハイワゴン的な印象が高まった外観を成しています。
フィアット500:2007年~
約400万台を売り上げて、イタリアの街に溢れかえったヌーヴァ500チンクエチェントの生産中止から30年もの時を経て、3代目のフィアット500が登場しました。雰囲気はかつて愛されたデザインをそのまま引き継ぎながらも、中身はまったく違うものとなりました。RR(リアエンジン・リアドライブ)レイアウトを宇都だった以前モデルが、新型はFFモデル(フロントエンジン・フロントドライブ)へと変貌。近代的な1.2&1.4リットルエンジンに、シーケンスシャッフルにシフト可能な「デジュアルロジック」を搭載するなど、当時の最新技術がふんだんに盛り込まれています。
最後に:今も愛され続ける過去の洗練されたフィアットデザイン
フィアットは愛着のある曲線美を持ったフィアット500とスッキリかつ骨太で心地よい直線美を持ったフィアット・パンダやフィアット・ウノなどの2つのデザインに分かれますが、凄いのは、そのデザインが今見たとしても、美しさを保ち続けていることです。
そして、フィアットが持つコンパクトさは日本の風景にすごくマッチします。この点が日本人にフィアットが愛され続けている秘訣かもしれません。